何気なく韓国料理の本を見ていると、ある1枚の皿に目がとまりました。 淡いグレーの地に白い小花が咲き乱れ、寒い冬の必需品 『銀峯花三島』 の土鍋に 雰囲気がとてもよく似た、可愛らしく温かみのある素敵な1枚です。 興味が湧いたので調べてみると、やはり ”三島” のルーツは朝鮮半島にありました。 『三島茶碗文化振興会』 などから引用させていただきます。 ◆三島茶碗-高麗朝鮮から朝鮮王朝(李朝) に転換した初期に焼かれました。 仏教から儒教に変わり、生活も現実的になり、明るくおおらかで 極めて ”温雅な親しみ” がにじみ出ています。 この一時の平和の時代に生活雑器として半島の至る所で焼かれ たものが 「三島茶碗」 と呼ばれるものです。 現在の韓国では 「粉青沙器」 または 「粉青」 と呼ばれ、技法とし ては象嵌、印花、線刻、掻落とし、粉引 、鉄絵など、器の地肌に 白化粧したものを総称します。この化粧掛けは中国の磁州窯に も見られますが、さらに遡ると唐三彩にも見られる技法です。 日本でも 「三島茶碗」 は根強い愛好者がおり、全国各地の窯場 で個性的な三島茶碗が焼かれています。 ◆三島茶碗の今昔 歴史的に見ると、室町末期に朝鮮陶工達が作っていた日用品の素朴な茶碗が、 日本の侘茶の茶人達の目に触れたのが始まりです。 利休など茶人の教養とした茶の湯の最高理念は 「侘び・寂び・幽玄」 でした。 朝鮮の陶工達が作り、李朝の民が毎日ご飯を食べ、汁を盛り、又はドブロクを 盛った碗など実に素朴な陶器が日本の茶人の目にとまったのです。 この茶碗が茶人の趣味にマッチして、強く茶人の心を打ったのでした。 それまで茶人に愛玩されていた中国の天目茶碗や、世界的に評価が尚かった 朝鮮の高麗青磁に比べ、磁州窯の白化粧から一般化したとみられる朝鮮の 茶碗は刷毛で白化粧を施しただけの実に素朴なものでした。 特徴は、何と言っても李朝の人達の儒教の精神に基づく ”素朴さ” です。 なぜ朝鮮の日用雑器に ”最高の茶器” としての高い評価を与え、愛したのか? それは室町時代から続く、茶道の伝統に裏付けされた鑑賞力によるものでした。 刷毛目や白化粧を施しただけの単純な茶碗の表面に、竹箆の先で縦に点々と 筋をつけて楔様にした茶碗がありました。これを手に取った茶人は表面の模様 が 「三嶋暦」 に似ていると直感し、『三島茶碗』 と名付けたと言われます。 この手の模様は茶碗に限らず壺や徳利にもあり、 「三島手(みしまで)」「暦手 (こよみで)」 と呼ばれ愛用されました。三島茶碗はそれらの陶器のうち ”茶席 の主役” を演ずるので特に高い評価を与えられたのです。 当時、輸入された 「三島茶碗」 そのものは、数量は少なかったと思われます。 明治末からは古墳や宮殿跡や窯跡から古い優品が発掘され、広範な種類の 三島手が公私のコレクターによって世の光を浴びるようになりました。 『根津美術館』 をはじめ各地の美術館には国宝級のものがあり、個人のコレク ターが愛蔵している優品があります。 さて 「三島手」 と言われる陶器の制作年代は、李朝初期15~16世紀の所産 と言うのが定説になっています。およそ時代を同じくして焼かれた朝鮮の井戸 茶碗、熊川、金海と同列に置かれ鑑賞されました。 三島手陶器にしてもこれらと同様に、陶器の素地の持つ ”自然の温かみ” に 深い親密さを覚えるのです。李朝時代、韓国の人々は敬老の精神に厚く、礼 儀を重んじ清廉潔白でした。この人々の礼服が純白であることを見ても、質実 剛健の気風と清廉潔白の精神が伝わってきます。 茶碗以外の器にしても白化粧を掛けたままの素朴なものが多く、穀物の貯蔵、 漬物、食器などの陶磁器も作らましたが、実用品以外の装飾品は作られませ んでした。”土のぬくもり” のある李朝の陶器が、世界の古美術界で非常に高 く評価されています。 ◆掻落とし手-胎土に陰型文様を施し、白土で化粧掛けを刷毛びきした後に 文様の陰刻部分を残して削り落とし、それに釉薬をかけて焼成 したもの。掻落とした部分に花や魚、鳥が浮き出てくる。 ◆刷三島-白土の刷毛びきは前者と同様であるが胎土に箆、櫛または釘など を用いて、陰刻文をあらわすだけの手法によるもの。 韓国では粉青沙器線刻などと呼ばれている。 ◆絵三島-白土刷毛目の化粧掛けは同様であるが、鉄砂をもって文様をあら わしたもの、絵三島と称えてきたが 「絵刷毛目」 と呼んでも良い。 韓国では粉青沙鉄絵などと呼ばれている。 ◆刷毛目三島-白土をもって刷毛びきしたままの無文。単に「刷毛目」という。 前述の技法に加えさらに刷毛びきする複雑な組み合わせに よる「刷毛目三島」も見られる。 韓国では粉青沙刷毛目などと呼ばれている。 ◆粉引三島-ずぶ掛けの白土高台の土までも隠す技法のもの。素地が様、 半乾き等で収縮率が変化し、剥離現象が起きる。前述の技法 に加えさらにずぶ掛けする「粉引三島」も見られる。 韓国では粉青沙器粉引などとよばれている。
by hi_nana3
| 2009-02-27 16:18
| ∵ ラブ 手仕事
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